金沢は、藩政期から培われてきた伝統や文化、城下町風情が息づいている。受け継がれた技を礎に、京都に並ぶ「伝統工芸王国」とされ、国内外からも大きな評価を得ている。
国の「伝統的工芸品」に指定されている金沢の工芸品は、金沢箔や加賀友禅、金沢漆器など6種類に上る。金沢市内ではこのほか、金沢表具や竹工芸、加賀象嵌、二俣和紙などの県指定伝統的工芸品や希少伝統工芸品に触れることができる。


金沢箔
その歴史は安土桃山時代に遡り、明治以降、急速に発展しました。現在、全国生産高に占める割合は、金箔99%以上、銀箔・洋箔100%。美術工芸品の加飾、歴史的建造物の修復等に使用され、近年は、インテリア等への活用も試みられています。

金沢漆器
三代藩主利常が、京都から蒔絵の名門・五十嵐家の道甫を招いたことで、貴族文化の優美さに武家文化の力強さが加わった独自の漆芸が確立。多彩な技法が藩の工房から町方に広がり受け継がれてきました。茶道具などの一品制作が特徴です。

加賀友禅
加賀独特の梅の木を題材とした染織等を源流に、18世紀後半、宮崎友禅斎が基礎を築きました。狩野派の流れを汲んだ絵画調の絵柄は、文様的な絵柄の京友禅とは対照的です。近年は、加賀友禅の技法を応用したドレス等も開発されています。

金沢九谷焼
十一代藩主斉広のとき、京都から名工・青木木米を招き、卯辰山に春日山窯を開いたのが始まりです。細密画と盛絵具、独特の赤を駆使した絵柄は、豪華さの中に気品と風格を感じさせます。脚と台に九谷を用いたワイングラスなども登場しています。